「作り手も消費者も、北海道の食を楽しんでほしい」harapeco委員会インタビュー

2019年11月20日(水)
前回は北海道札幌市中央区で開催された『北海道のごはん展』についてレポートしました。このイベントを主催しているのはharapeco委員会の皆さん。今回は『北海道のごはん展』が生まれた経緯や、どんな想いを持ってイベントを運営されているのかなど、作り手と消費者をつなぐイベントの裏側についてお話しを伺っていきます。


――harapeco委員会のメンバーについて

harapeco委員会は3人の女性で構成されています。『北海道のごはん展』の企画の大元は3人で責任を持って考えているとのこと。まずは自己紹介をして頂きました。

PATTERN PLANNING(株) 赤坂若菜(あかさか わかな)さん:
プランナーとして企業の商品やサービスをどういう風に作ったり、売ったり、広めていくかを企画する仕事をしています。農業を専門分野としているということではないのですが、生産者の方と出逢う機会も多く、徐々に「食」に対する興味が高まっていきました。生産者やシェフと一緒にイベントを行うこともあり、仕事の枠を超えて様々な活動をしてきました。

una casita みやち ゆか さん:
グラフィックデザイナーの仕事をしています。パッケージやロゴ、パンフレットやWEBサイトまで様々な見せ方を考える仕事ですね。イベントでも“見せ方”を作るのが主な担当です。私も農業分野だけではなく色々な企業や個人のお店のデザインをしていますが、生まれも育ちも北海道なので農業は身近なものでした。

佐々木理恵(ささき りえ)さん:
フリーライターをしています。以前は札幌のタウン情報誌の編集者をしており、そのときから飲食店の方々とお話しをしたり、食材に触れる機会が多くありました。それがきっかけで道産食材や食に興味を持つようになり、ライターとしてではなく違う立ち位置から北海道の食に関わりたいという気持ちが湧いてきました。


左から、みやちゆかさん、佐々木理恵さん、赤坂若菜さん

3人は普段別々にお仕事をされているとのことですが、「食と農業への興味関心」という点は共通しています。また、プランナー、デザイナー、ライターと仕事の専門分野が分かれていることも、イベントを企画運営していくことに役立っているのではないかという印象を受けました。そんな3人が『北海道のごはん展』を始めたきっかけとなったのはどんなことだったのでしょうか。


――『北海道のごはん展』を始めたきっかけと伝えたいこと

イベント自体を初めて開催したのは2017年の10月。構想は2016年からで、1年かけて準備したとのこと。きっかけはある農家さんとお仕事をしたことだったそうです。



赤坂さん:知内町の帰山農園というお米農家さんのブランディングやデザイン制作の仕事をさせて頂いたことが『北海道のごはん展』を実施するきっかけになりました。

みやちさん:パッケージやWEBサイトなど帰山さんの想いがつまったものができあがっていく中で「お披露目の場所があったらいいな」という話をしていたんです。赤坂さんは元々作り手の方やシェフと一緒にイベントをしていた前例があり、私と佐々木さんも、それぞれが仕事で色々な作り手と関わった機会があったので、たくさんの人たちを巻き込んだら何か楽しいことができるんじゃないかという思いがありましたね。

赤坂さん:帰山農園さんの所に1年間通って、「お米は1年に1回しか収穫できなくて、台風や冷害もある中で秋に無事収穫を迎えることができる喜び」を感じたんです。自然と戦った1年の集大成だなと。北海道にはたくさんの米どころやおいしい品種があることも伝えたいと思いました。また、お米をテーマにイベントを考えていくことで、北海道だからこそできることがいっぱいあると思いました。

佐々木さん:ごはんは日々の暮らしでなくてはならないもので、どんな人にとっても身近なものだと思うんですよね。だから改めて考えながら食べる機会ってないかもしれないのですが、このイベントを通して普段自分が食べているごはんと比べたり、考えたり、いつもと違うごはんの見方をする楽しさを見つけられるのではないかなと思います。


――『北海道のごはん展』をつくる人々とは

みやちさん曰く「harapeco委員会は“言い出しっぺ3人組”という感じ」とのこと。お話を聞くと、『北海道のごはん展』は出展者やお客様も含め、たくさんの人々のつながりでつくられているイベントということを感じました。

赤坂さん:後援の北海道庁さんがボランティアの声掛けもしてくださっていて、北海道各地から30名程のボランティアの方が来てくれています。あとはharapeco委員会以外にサポートメンバーが10名程いて困った時には相談しています。仲間が年々少しずつ増えてきている感じはありますね。



みやちさん:出展者の方はそれぞれの仕事でつながった方もいますが、例えば前年の出展者さんが同じ地域の方を紹介してくれたり、来てくれたお客様が農業をしていたり、つながりがつながりを呼んでいるところもあります。

赤坂さん:出展者さんは公に募集していないんです。「北海道のごはんにまつわるものを盛り上げていこう」という想いが重なる出展者の方々に支えられています。みんなでつくりあげたいイベントだから人柄が大事。この趣旨があるからこそ紹介などのつながりができているのではないかと思います。


――「大変さ」を語ることから見える志

『北海道のごはん展』は毎年、1年程の時間をかけて準備をしているそうです。3人とも各々の仕事をしながら昨年の反省を少しずつ活かして改善を重ねてきているとのこと。「大変なことはありますか?」という質問には、周りを思っていて、良いイベントにしたいからこその回答が得られました。

赤坂さん:“丁寧にやること”が大変だと思っています。例えば出展者さんに会いに行くにも、北海道は広いので2回3回と足を運ぶのが難しかったりします。交渉も電話だけじゃなくてできる限り直接会えたら良いなと思っていますし、自分の足でもっと出展者さんを探せたら良いのに……など、理想はあるけど物理的にやりきれないこともあるんですよね。そういう時に丁寧にやることの大変さを感じます。



佐々木さん:赤坂さんが言ったように“丁寧にやること”は私も気を付けていました。『北海道のごはん展』に出展していただくにあたり、できるだけ不安を最小限にするように細かくやり取りするようにしていました。疑問や要望があったら当日までに用意をするなど、少しでも安心して参加して頂けるように心がけました。

みやちさん:イベント当日を迎えて出展者の方たちが「このイベントに出て良かった」と言ってくださることや、お客様が年々少しずつ多くなってきていることを体感すると、大変さはもちろんあるんですけど帳消しになってしまうところもありますね。大変じゃなかったかと言われたら大変ではあったんですけど……(笑)。


――今後の展望

『北海道のごはん展』の今後の展望を伺うと“楽しみながらみんなで盛り上げていくこと”、“できる限りイベントを続けていくこと”ということが共通の想いのようです。



みやちさん:『北海道のごはん展』は普段何気なく食べているものに改めて意識を向けて楽しんでもらうものだと思っています。北海道はお米農家さんをはじめ、養鶏場やごはんのおともを作っている人たちもたくさんいるので、せっかくその土地に住んでいる私たちだからこそ、もっと一緒に楽しんで盛り上げていけたらいいなと。丁寧に関わり合いながらイベントを続けていくために、どんな風に変化していこうか……ということが今後のテーマになるかと思います。

赤坂さん:北海道は広いから各地域でまとまってしまうことも多いと思うんですけど、色んなものがあるのが北海道良いところですよね。地域を超えて「北海道」という単位での、みんなで盛り上げることが大事だと思います。『北海道のごはん展』もスポンサーがいるわけじゃないので、お客様も出展者も参加して“みんなでつくっていくイベント”という認識で続けていきたいです。毎年課題もありますが、来年以降も続けていくときに当初の目的とずれないようにしていきたいと思います。

佐々木さん:今後『北海道のごはん展』を続けていく上でみやちさんと赤坂さんが言ったことがもちろん大切だと思いますし、来てくれたお客さんにはごはんを美味しく食べて、お腹いっぱいにして、心から満足してもらいたいです。なによりもみんな笑顔になってもらうということがこれからも大切にしていきたいことですね。そのためには出展者さんにも楽しんでもらいたいし、私たちも楽しむ気持ちを大切に続けていきたいです。

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筆者は『北海道のごはん展』の開催初年度と本年のイベントに参加しました。会場には出展者やお客様の「ごはんを楽しむ」という活気に溢れていましたが、今回のインタビューでその活気の理由が伝わりました。“北海道のごはん”はお米という意味はもちろんですが、たくさんの農業者の方がつくっている北海道の美味しいものたちも意味の中に込められています。「地域の美味しいものを収穫して味わえる」という喜びを農業者も、消費者も一緒にみんなで祝っていくイベントだからこそ会場は活気や笑顔で溢れているのだと思います。今後も様々な形で“ごはんを楽しむ仲間たち”がつながって、北海道の食が盛り上がっていくことに期待しています。


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取材・文・写真:林 佳奈(株式会社オーレンス総合経営)