最新の食と農を知る!北海道アグリ・フード・プロジェクト

2019年10月30日(水)
 北海道札幌市白石区で10月23日、24日の二日間に渡り、『北海道アグリ・フード・プロジェクト』が開催されました。『北海道アグリ・フード・プロジェクト』とは「北海道の新たなる食ブランドの確立、儲かる農業を実現する仕組みづくり、新たな担い手確保・雇用の創出」「そのための農業従事者の育成、ノウハウの共有と最新技術の導入、多種多様な領域によるオープンイノベーションの促進」を目的としたイベントです(北海道アグリ・フード・プロジェクトWebサイト「開催概要」から引用)。会場には農業の最新のシステムや取り組みなどの情報が集結しており、様々な分野の来場者で賑わっていました。今回は筆者がこのイベントで参加したカンファレンス、セミナーの内容についてレポートしたいと思います。


農業者やメーカー、メディア関係者など、多くの人で賑わう会場

北海道の農業を知る『JAグループ北海道カンファレンス』

 最初に参加したのは『JAグループ北海道カンファレンス』です。HBC北海道放送の山根恒(やまね ひさし)さんと北海道札幌市発の劇団であるTEAM NACSのリーダー森崎博之(もりさき ひろゆき)さんが登壇しました。山根さんは北海道放送で毎週放送されている『あぐり王国北海道NEXT(以下、あぐり王国)』を担当するチーフプロデューサーであり、森崎さんは同番組のMCを担当しています。今回はお二人が番組づくりを通して感じたことなどを中心に、講演が行われました。
 山根さんからはあぐり王国の取材を通して気づく北海道農業の現状をお話し頂きました。ここ数年は気候変動により、収穫が早まることや長雨で作物がダメになってしまうことなどがあり、番組の取材にも影響があるとのこと。また、クイズも交えて北海道で生産されている作物の紹介がされました。「赤エンドウ豆は富良野地域での生産が日本の生産量の9割を占めている」など、北海道に住んでいても知らなかった情報が多く得られました。
 森崎さんは主に北海道農業の特色や食料自給率に関するお話しをされていました。越冬キャベツや越冬じゃがいも、小豆を氷の壁で保存することなど「北海道では冬の力を借りて作物を保存する」というお話しがあり、北海道農業だからこそできることだと印象に残りました。また、森崎さんは「子供に農業者になりたいと思ってほしい」ともお話しされていました。JAグループ北海道や山根さん、森崎さんがあぐり王国を通して北海道農業を伝えていくことには、「農業を身近に感じてもらい今後も存続させていく」という意義があるのだと思いました。

ものづくりはものづくりだけで終わらない『シメパフェ×道産日本酒~売れるものにはワケがある~』

 次に参加したのは「シメパフェ×道産日本酒~売れるものにはワケがある~」というセミナーです。こちらのセミナーは上川大雪酒造株式会社代表取締役社長の塚原敏夫(つかはら としお)さん、有限会社アリカデザイン代表の小林仁志(こばやし ひとし)さんが登壇しました。小林さんは札幌シメパフェ推進委員会を立ち上げ・運営しています。今回はコラボレーション企画で上川大雪酒造の日本酒を使用したパフェが開発されたことから、お二人の事業やコラボレーション企画についての講演が行われました。
 まずは塚原さんより、酒蔵を立ち上げた経緯や販売戦略のお話しを頂きました。酒蔵を立ち上げたのは「上川町の観光客減少に歯止めをかける」ということがきっかけだったとのこと。上川大雪酒造での経営や販売における工夫からは、生産者や生産地を大切にしていることが伺えました。具体的には「仕入先こそが最高のファン」という考えのもと、良い酒米の生産のためにグローバルGAPの勉強会を開催したり、グローバルGAP取得のための金銭的支援を行っていることや、商品を地域限定販売や店舗限定販売にして「まち実際に来てもらうこと」に注力している点から「ものづくりにおいて地域を大事にしていること」を感じました。
 次に小林さんから、現在行っている広告業・地域ブランド事業やシメパフェ事務局事業の紹介を中心に、広報・宣伝についてのお話しを頂きました。小林さんは「魅力的な商品を作るだけではなく売ることも大事」とお話しされており、販売戦略と広報戦略の必要性を語っていました。中でも「ブランドの構築は“消費者との約束をすること”である」というお話しが印象的でした。「これを提供する」と決めて消費者と約束をし、それを伝えるために商品に関する知識や体験などを広めることで、ブランドが確立していくということがわかりました。
 トークセッションの時間はコラボパフェの開発秘話についてお話しされていました。コラボをすることになったきっかけや不純物がほとんど入っていない日本酒をパフェとしてどう活かすかの工夫などを聞き、こだわりの詰まったメニューとなっていることが伝わりました。

消費者と生産者をつなぐ情報発信が大切

 二つのカンファレンス、セミナーからは「作るだけではなく、知ってもらうことが重要」ということを強く感じました。知られることでものに注目が集まり、無くてはならないものになっていくということが、生産者の活動を支えていく原動力になると思います。その土地その土地で様々なものが生産されていますが、「どこで、どんな人が、どんなものを」生産しているのかということはSNSなどが発達した今でもまだまだ消費者に伝わりにくいことでしょう。個人差はあるかもしれませんが、忙しい生産者が自ら情報発信していくことには難しさはあるのではないでしょうか。そのような状況の中で、作り手に関係する団体やメディアが積極的に情報を掘り起こし、消費者に伝えていくことがとても大切だと感じました。スグスクでも様々な生産者や取り組みを紹介していき、農業者と消費者が身近に感じられるような情報発信を行っていきたいと思います。

北海道アグリ・フード・プロジェクトのWebサイトはこちらから
http://www.jma.or.jp/hafp/index.html


取材・文・写真:林 佳奈(株式会社オーレンス総合経営)