GAP認証取得までの道のり【青果物編 前編】

2020年04月01日(水)
農場の安全衛生管理や環境保全の認証であるGAP認証制度には様々な種類があります。今回はスグスクの専門家がJGAP取得支援を行った農場について、取り組み事例を紹介します。今回ご紹介するのは北海道夕張郡由仁町にある(株)西村農場です。前編では、農作物を守るために西村農場が設定した「農場ルール」がどのようなものなのか、詳しく見ていきます。


会社名:株式会社 西村農場
所在地:北海道夕張郡由仁町
認証農産物:トマト、ミニトマト

西村農場では青果物である「トマト」と「ミニトマト」のJGAP認証を取得しました。将来的には、トマト以外の作物のGAP認証取得も必要と考えています。
西村農場がJGAPを導入するきっかけとなったのは、農産物もヒトの口に入る「食品」として品質管理が重要だと感じたこと、また、勘や経験に頼る農業からの脱却が必要であり、農場の見える化を行うことにより生産効率向上に繋げたいと思ったことでした。農場の規模を拡大するには人材の雇用が不可欠のため、GAP認証取得は雇用の基盤づくりの一歩としても考えているとのことです。
当農場ではトマト以外にも、米、麦、大豆といった穀物と、シソの栽培を行っています。トマトを栽培している周辺には他の農産物も多く栽培されているため、ドリフト(※1)の考慮やコンタミ(※2)の防止策など様々な工夫がされています。また、衛生管理や労働安全など、JGAP認証取得にあたって参考となる事例が数多くありました。
※1 農薬が飛散し、目的外の作物に付着すること
※2 コンタミネーションの略、一方の環境からもう一方に本来混入するべきでない物質が混入すること


農作物を守る「農場ルール」の設定

農薬散布時のドリフト防止を徹底

当農場では多品種の栽培を行っているため、使用する農薬も多岐にわたります。そこで、周辺農場の農薬散布時には、トマトに他の作物に使用する農薬がかからないように、必ずビニールハウスを締め切るようにしています。
また、「風向きを考慮する」、「風の強い日は散布しない」、「周辺農場とのコミュニケーションを図る」などの基本的なことが、しっかりと農場ルールとして明文化されています。このように、明文化することにより誰が作業をしても品質を担保することができます。

コンタミ防止の工夫
選果場は、他の農産物と混ざらないようにトマト専用の選果場を設置しています。小麦は特定原材料7品目、大豆は特定原材料に準ずるもの21品目のアレルギー物質なので、混入を防ぐため作業場の区分けを実践しています。
また、資材に関しても農産物ごとに分けて管理する対応策をとっています。

作業着の着用ルールを設定


製品に触れる作業を行う際は手袋の着用を義務化し、収穫作業時や路面店で販売するときにも着用を徹底しています。手袋を着用することは食品を扱う者としての基本ルールであり、傷口や人間の手指から菌の発生を防ぐために重要な取り組みです。西村農場では、手袋の使用前後の確認もあわせてルール化し、異物混入対策の実施にも取り組んでいます。
また、菌の発生防止対策としては、靴底の洗浄・殺菌も実施しています。
作業者はもちろん、現場視察に訪れるバイヤーなどにも衛生管理のルールを遵守してもらうよう掲示物を設置しました。このように、西村農場では現場の衛生管理に努めています。


総合的病害虫管理策(IPM)の導入

総合的病害虫管理策(IPM)の実施策として、草除けシートを設置。実施の効果としては、使用農薬が低減したことや、靴底が汚れなくなり泥を落とす手間が減ったことが挙げられます。手で除草することも無いので、作業の効率化にもつながったとのこと。また、汚れが少なくなり、衛生面でも効果を感じているようです。
また、品種の選定においても、病害虫に抵抗性の持つCF種やTY種を積極的に使用されています。天候に優れる年では、防除が通常の半分以下(2~3回)で終了することもあるとのことです。

有害生物の侵入防止策



汚染物質との交差汚染リスク対策として、ビニールハウス入り口にネットを設置しています。これにより、猫や鳥などの侵入を防止することができ、製品に糞などが付着するリスクを回避することができました。

後編では、西村農場での農作物や作業の管理手法をご紹介するとともに、西村さんがJGAP認証を取得しての効果や、今後取り組んでいきたいことなどについてお話しを伺います。


取材・写真・文:宮部尚樹(株式会社オーレンス総合経営 JGAP指導員)